本研究の目的は、多能性幹細胞の自己組織的分化誘導技術(オルガノイド技術)を駆使して、培養下で人工的なヒト脳組織ネットワークを作製し、組織構造と神経活動の計測・解析・操作を行うことで、ヒト脳の動作原理を解明し、背後にある神経・精神機能に関する示唆を得ることである。脳科学の目標の1つは、知性や精神の座であるヒトの脳を科学的に理解し、知見を神経・精神疾患の克服に役立てることにあるが、ヒト脳そのものを対象とした実証的な研究は倫理的・技術的制約により実施困難である。現状を打破するために、脳オルガノイドをヒト脳の科学的理解に活用することを、本課題では提案する。細胞で脳を創ることで、ヒトの脳機能を解明し、知性の根源に迫ることを目指すものである。本課題の遂行により未踏領域であるヒト脳の科学的理解に貢献することを目指す。具体的には、脳組織の作製、解析、操作の3項目を設定して研究開発を実施した。
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