腫瘍微小環境は通常、弱酸性、低酸素、強力な抗酸化システムを特徴とし、化学療法の有効性を大きく制限されている。令和5年度は開発した薬剤前駆体候補材料(銅担持メソポーラスシリカナノ粒子)が腫瘍微小環境にどのような影響を与えるかを調べた。その結果、開発した薬剤前駆体候補材料(銅担持メソポーラスシリカナノ粒子)は、細胞外および細胞内酸素生成・活性酸素種生成の増加、および細胞内グルタチオン枯渇など腫瘍微小環境が制御できる事を示した。紫外可視吸収分光法により、殺腫瘍薬CuETの生成が確認された。肺がんLLCモデルで、断酒薬ジスルフィラム-銅担持メソポーラスシリカ粒子の腫瘍内投与は、一定程度の抗腫瘍効果がある事を確認した。断酒薬ジスルフィラム-銅担持メソポーラスシリカ粒子の腫瘍内投与と免疫チェックポイント阻害剤の腹腔内投与の併用は、単独より高い抗腫瘍効果、および腫瘍サイズの制御による延命効果が確認され、断酒薬ジスルフィラム-銅担持メソポーラスシリカ粒子と免疫チェックポイント阻害剤の相乗効果がある事を示した。
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