研究課題/領域番号 |
21K19947
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
小林 知恵 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 特任教員(助教) (00907941)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 科学技術倫理 / 熟議民主主義 / デュアルユース / RRI |
研究実績の概要 |
本研究は、先端科学技術をめぐる熟議民主主義的な意思決定手法の開発に向けた倫理学研究として、熟議の場を設計する際の基盤となる価値論と望ましい熟議が満たすべき要件の解明を目的とする。 2021年度は、責任ある研究・イノベーション(RRI)の構成要素としての熟議/包摂に着目し、これらが支持する「研究・イノベーションのヴィジョンや目的、問題、ジレンマ等について、一般市民や多様なステークホルダーの観点を取り入れた熟議的プロセス」の内実を明らかにする研究に着手した。具体的にはJ.S.フィシュキンがWhen the People Speak: Deliberative Democracy and Public Consultationにおいて提示した熟議の質評価に関する五指標に基づき、具体的な事例(英国合成生物学推進ロードマップ策定WGの活動報告、本邦でのコンセンサス会議やディープダイアローグ主催経験に基づく報告・提言)を検討し、そこで見落とされている論点(考慮の不平等)の析出を行なった。RRIが支持する熟議プロセスを「考慮の不平等」の解消・低減を含むものと捉えることによって、先端科学技術をめぐる熟議の評価指標の精緻化に向けた見通しを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デュアルユース研究の倫理を主題とするオンライン研究会を計10回開催し、科学技術倫理を専門とする研究者と連携しながら研究を進展させることができた。また、上記研究会で得られたフィードバックをもとに交付申請時に予定していなかった事例研究にも着手できたほか、デュアルユース研究ガバナンスにおける市民参加を主題とするサーヴェイノートを執筆した。
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今後の研究の推進方策 |
熟議の場において解消されるべき「考慮の不平等」について、I・M・ヤングの「内的排除/外的排除」(I. M. Young [2002] Inclusion and Democracy)とM・フリッカーの「認識的不正義」(M. Fricker [2007] Epistemic Justice)をめぐる議論を参照することでその理論的基礎づけとその解消に向けて達成すべき要件の明確化を行う。さらにこの作業によって得られた知見自体を、熟議の参加者を含む関係者に共有されるべき情報の一部として位置付け、熟議の場を設計する際の議論にどのような配慮を呼び込むのか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行の影響により、交付申請時に予定していた調査出張を実施できなかったため次年度使用額が発生している。実施時期を延期して令和4年中に執行する。
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備考 |
ELSI NOTE:河村賢、片岡雅知、鹿野祐介、小林知恵「デュアルユース研究の倫理学:費用便益分析を超えて」、大阪大学社会技術共創研究センター.
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