研究課題/領域番号 |
21K19949
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大久保 範子 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (80620252)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 浮世絵 / 江戸時代 / 信仰 / 庶民文化 / 力士 / 相撲 / 錦絵 |
研究実績の概要 |
今年度は新型コロナの影響もあり絵画資料の実見調査に制限を受けたため、オンラインでのデータ調査及び文献調査を中心に活動を行った。調査で着目した点は手形の「色」と「構図」である。現在の手形は朱墨であることが多く、黒星を連想させる墨はあまり好まれないとされるが、現存する力士の手形を調査したところ、明和期(1764-1772)から天明期(1781-1789)にかけて押された手形には”黒”と”赤”が混在しており、時代が下るに従い赤が優勢となっていくことが明らかとなった。「構図」については、力士が手形を押す風習を描いた作例と、実物大と思しき手形に力士の肖像を組み合わせた作例に分け整理をした。その際、加藤清正像(清正公)にも後者に類似した体裁の手形が押された肖像の作例があり、合わせて調査を進めたところ力士の手形と同様に疫病を退けると信じられたものであることが分かった。制作意図や享受者に関し力士の手形とどのような共通点と差異があるのかについて引き続き調査を行う方針である。 その他、富山市郷土博物館及び売薬資料館で薬絵の調査を行った。薬絵は販促品として配布された浮世絵であるが、調査を進めたところ病の平癒を祈るよりも商売繁昌といった実利的な願いが反映された画題が多いことが確認された。これは民家や土蔵などの壁に漆喰で施す鏝絵の画題と極めて近い傾向を示しており、薬絵が日常を通じ家屋等に飾る用途であったため、実益を伴うものがより好まれたことが考察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は研究報告書の出版を計画していたが、年度末に体調を崩したことに加え研究協力体制に変更が生じたため版行に至らなかった。そのため研究機関を一年延長し、2024年度に出版を行う方針である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は文献・史料調査を継続しつつ研究の公表へ向けた準備を進める。また未調査の作品についても状況が整い次第実見調査を行う。調査報告書のほか口頭発表も複数予定しており研究成果の社会化に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究報告書の出版を計画していたが、年度末に体調を崩したことに加え研究協力体制に変更が生じたため版行に至らなかった。そのため研究機関を一年延長し、2024年度に出版を行う方針である。
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