本研究は、身体知の伝達にとって何がコアであるのかを、実際の伝達の現場に取材することで明らかにし、それを哲学の言語で分析することで、人間の感性的了解のあり方、身体知を通した存在変様を描くことに成功した。 その結果、理論に偏りがちな哲学研究においては、単なる身体一般ではなく、具体的身体(誰の身体であるか)を論じることを可能にした。また変化の過程を問うことで、個体的に考えることのできない生成変様を論じる視座を提供することができた。さらにより大きな文脈においては、COVID19が強要した大きな社会転換に対して、コミュニケーションとは何であるのかを哲学の議論として論じたことに社会的意義がある。
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