本研究は、20世紀フランスを代表する哲学者ジル・ドゥルーズの哲学とそれ以降のフランス現代思想の相関を、共同体論の観点から再検討することを目的とするものである。身体概念を刷新しながら共生について思考を深めたフーコーやバルトらを代表する同時代の思想的潮流のうちにドゥルーズを位置づけなおし、とりわけ70年代のガタリとの共著『アンチ・オイディプス』を読解しながら、ドゥルーズが近代的家族とは異なる「小集団」の形成を探っていたことが明らかにされ、70年代のドゥルーズの議論が80年代以降の共同体論の隆盛にも大きく寄与している可能性が示された。
|