本研究では『ポタラ宮倶舎頌』の校訂版の制作、諸本の比較研究、背景調査をテーマに掲げ、研究を行い、次の三点の研究を行った。 第一に、暫定的な『ポタラ宮倶舎頌』全編に及ぶ暫定的な校訂テキストの制作を完了した。第二に、諸本の比較研究を行った。その結果、有名な「伝説(kila)」の語が諸本間で異なる取り扱いがなされていることが明らかとなった(田中[2022a])。第三に、諸本の背景調査を行った。その結果、AKK V.42-2の調査を通じて、『倶舎論』は時代に応じて常に最新バージョンにアップデートされていたことが明らかとなった(田中[2022b])。
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