研究課題
本年度は、三本の学術論文を公刊し、四本の口頭発表を行った。最終年度となる本年度は、本プロジェクトにおける、人間言語のインターフェイスでの解釈システムを明らかにするという目標の下、生成文法理論の流れや現行のメカニズムの射程を整理することで前年度までに提案したメカニズムを再検討するとともに、インターフェイスの解釈メカニズムを更に精査し、インターフェイスで起きると考えられる再構築現象を中心に、日本語の主要部外在型関係節が現行の枠組みでどのように分析されうるかの提案を行った。研究期間全体を通じて、本プロジェクトでは、インターフェイスでの解釈メカニズムという観点から、人間言語に許される一致や格のシステムを提案した。従来、これらの現象は統語論中で捉えられるべきだという見方が強かったが、本研究では、統語構造が構築された後、どのようにインターフェイスで構造解釈がなされるか、という問題に対し、昨年度までの研究の中で提案したメカニズムに基づき、統語構造の持つラベルに基づき、一致現象と格付与をインターフェイスで決定するメカニズムを提案した。提案により、従来のprobe-goal Agreeを用いて統語論中でこれらの現象を扱うメカニズムでは捉えることが難しかった、様々な言語の多重一致現象等を説明できることを示した。提案したメカニズムの中で一致や格にとどまることのない様々な現象を考察することで、これまで十分に明らかにされていなかった統語論とインターフェイスとのかかわり及び、統語構造に与えられるラベルのインターフェイス解釈における役割を明らかにした。
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アカデミア 文学・語学編
巻: 113 ページ: 265-280
Proceedings of The 13th Generative Linguistics in the Old World in Asia (GLOW in Asia XIII) 2022 Online Special
巻: 39 ページ: 106-116