本研究の目的は、日本語学習者が発音の自律学習を行うための発音指導を提供し、日本語学習者の長期的な発音習得のプロセスを解明することである。 2023年度は、2021年度、2022年度に筆者が発音指導を行った日本語学習者6名程度を対象に追跡調査を継続的に実施した。内容は、これまでの調査結果と比較可能にするため、同様の発音生成調査、アンケート調査、インタビュー調査である。調査結果に対して、発音の自律学習を続けている学習者が行った発音学習の目標、経験、内容、方法を明らかにすべく、過年度のデータと合わせて質的分析を行った。その結果、学習者の発音に変化が見られたため、学習者が行った発音学習の有効性に加え、学習初期に行う発音指導の有効性について示唆を得ることができ、発音習得のプロセスについて知見を得ることができた。 なお、研究成果については段階的に発表を行っている。まず、発音指導を受けた半年後の学習者の発音学習に着目した発表を「第26回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム」にて行い、発音指導を受けた後に日本語授業を履修しなかった学習者の発音学習に着目した発表を「第13回国際日本語教育・日本研究シンポジウム」にて行っている。加えて、2022年度に発表した内容が『ヨーロッパ日本語教育』26号に掲載された。今後も、本研究で得た成果を複数の学会で発表し、論文として投稿していく予定であるが、一部未発表の分析結果も残っているため、引き続き研究成果の公表を行っていく所存である。
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