研究実績の概要 |
2021年度では音声語彙力の測定方法の妥当性を検証するために予備調査を実施した。日本人英語学習者によって発話された英単語を特に語彙ストレス(word stress)に焦点を当てて分析を実施した。これまでの第二言語語彙研究では、音声語彙の重要性は認識されつつも、測定方法に関しては具体的な議論がなされていない。特に意味を覚えた単語がどの程度正確に発音されているか検証することは実際のコミュニケーション下で「使える語彙力」を測定するためにも必要である。発音の正確さの中でもストレスはこれまでの発音研究で重要な音声特徴の一つとして報告されているため、本予備研究では語彙ストレス(word stress)に焦点を当てた。Lee, Guion, & Harada (2006)を参照し、日本人英語学習者による英単語発話を4つの観点(vowel quality, intensity, pitch, duration)に着目して音響分析を実施した。以上4点は英語のストレスの正確さを決定づける重要な音声特徴として報告されている。音響分析経験のある研究補助者と共にPraat(音響分析ソフト)を使用して、音声サンプルのデータ処理・音響分析を実施した。すべての音響分析は2022年4月に完了した。現在、学習者の英語熟達度や単語の知識と音響分析結果との関係を調査するための統計分析を実施している。本予備研究によって「意味を知っている」単語がどの程度正確に発音することができるのかを明らかにすることができる。本研究結果をもとに次年度(2022年)では、実際に筆記語彙知識と音声語彙知識の関係を調査する際に役立てる。
|