研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、今まで先行研究がほとんどなかった高木折右衛門物実録・『女武勇集』・アヘン戦争物実録を研究対象とし、諸本調査と系統整理、具体的な内容分析、後世への受容実態の解明を行った。その結果、高木折右衛門物実録(『武道白石英』)の3種類のバリエーションの存在とその特徴、「女武勇」という概念とその特徴、近世実録におけるアヘン戦争描写の特徴などを明らかにできた。これらの成果によって、近世実録の基礎研究を進展させることができた。
日本近世文学
近世実録研究は2000年代に入ってから研究が本格化した新興のジャンルであり、諸本調査・系統整理・翻刻注解・周辺領域との比較検討といった基礎的研究さえ十分に行われていない。特に、本研究で研究対象とした作品はいずれも、どこにどのような本が現存しているのか、どのような内容を持つのか、後世にどのように受容されたのかなど、不明な部分が多い作品だった。本研究の成果によって、これらの疑問点はおおむね解消され、近世実録の基礎研究の充実に寄与することができた。