研究課題
研究活動スタート支援
公益財団法人柿衞文庫が所蔵する芭蕉ならびに蕉門第一世代の書簡調査を実施した。調査の成果として、越人書簡について論文を発表し、「かるみ」以前の、芭蕉の初期蕉風俳諧が、越人門においてどのように受容されていたのかを明らかにした。あわせて、従来「蕉風離反者」と位置付けられてきた越人の再評価を行った。また、芭蕉と蕪村書簡に関する論文3点を発表した。
日本文学
書簡が有する、筆跡・内容両面における豊富な情報を活用することで、これまで、作品解釈や俳論分析、俳書入集歴による人的交流の把握が中心であった蕉風俳諧研究に新たな視点を提供することができた。特に、芭蕉没後の蕉門第一世代については、伝存資料の少なさもあり研究が遅れている分野である。書簡の解読を通して具体的な動向が明らかになり、伝記研究の前進、俳人の再評価につながった。また、書簡の筆跡は、今後、直筆資料の真贋鑑定の基本資料として活用されうるものである。