場所動詞や存在動詞、姿勢動詞が、名詞/形容詞述語文を形成するコピュラへと機能を変化させたり拡張させることは、通言語的にみて十分にありうる。本研究では、バントゥ系諸言語の資料を精査し、そこから得られたデータを対照させることで、バントゥ系言語のコピュラの機能の通時的変遷の解明を目指した。 バントゥ系言語の記述資料を精査した結果、バントゥ祖語の*-baに遡る形式が、いくつかの言語で、現在の状況を表す場所述語や、コピュラとして機能していることがわかった。そして、言語ごとの用法の違いから、この*-baに遡る形式が、場所動詞からコピュラへの機能の拡張の途上にある蓋然性が高いことが判明した。
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