研究課題/領域番号 |
21K20014
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木元 めぐみ 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (30909685)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 日本語 / 韻律 / 日本語イントネーション / 下降傾向 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、複数の方言地域の話者群による音声および方言使用アンケート回答結果をデータとして使用し、アクセントおよびイントネーションの同時実現の特徴および世代差(高年層と若年層)から、日本語韻律の地域差を明らかにすることである。今年度は主に、収録による予備調査を実施し、研究資料を完成させ、可能であれば本調査の一部に着手することを計画していた。 新型コロナウィルス感染拡大の影響で、対面収録が進まなかった。予備調査の参加者に対しオンライン収録を試みたが、収録場所が自宅等に限定され、雑音の少ない静かな環境を準備してもらうことが難しかった。感染状況に変化の少ない短期間に1方言地域において13名分のデータ収集が実現した。若年層については大学等の教育機関に協力を依頼したが、活動制限方針により許可が下りない等の理由で、予備調査も本調査も実施できなかった。その代わり、予備調査の参加者から研究資料について意見をもらい、研究資料を完成させることができた。 音声データが集まらないと研究が進まないため、ふたつの代替案を進めている。ひとつめは、過去の研究で使用した若年層の音声データを再度使用し、同地域内での世代差の比較を行う方法である。今回収録が実現した高年層の話者群に対し、新旧資料の両方について収録を行い、今後使用する研究資料にも対応できるようにした。現在、音声分析を進めている。もうひとつの代替案は、発話・文よりも小さい韻律単位(例えば、句単位)におけるアクセント実現の規則性等に対象を広げることである。コーパス音声を利用した研究では、東京方言話者と日本語学習者を比較することにより、日本語名詞句内のアクセント実現の規則性について国内外の学会において発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度に予定していた主な活動は、研究資料の完成と部分的な音声データ収集の実施であった。新しい研究資料は完成した。一方、新型コロナウィルス感染拡大の影響が続き、予定していた対面での音声データ収集のほとんどが実施できず、データ収集ができたのは1地域のみであった。オンラインによる収録を試みたが、音声提供者に雑音の少ない収録環境を準備してもらうことが困難で、オンラインによる実施も見送ったため、データ収集が大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の当初の予定では音声データ収集が必須であるが、新型コロナ感染拡大が収束しない場合はデータ収集計画を全体的に見直すことを検討している。例えば、データ収集の協力が得られた地域であれば収録を行うことにし、当初予定していた6方言地域(東京、秋田、仙台、名古屋、神戸、福岡)に限定しないことによって、データ不足を回避することを考えている。コーパス音声を利用した研究では、本研究に合致する分析対象を含んだ音声データを見つけることができたため、引き続き分析を進め、学会発表および論文投稿を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大の影響で、本年度に予定していた対面調査ができず、それに伴う出張ができなかった。そのため、予定した額と実際に使用した額に差額(次年度使用額)が生じた。新型コロナ感染症が収束すれば、初年度に保留となった調査および出張を、次年度に実施する予定である。
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