研究課題/領域番号 |
21K20016
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
辰己 雄太 明海大学, 外国語学部, 講師 (30906681)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 照応表現 / 代用形 / 代名詞 / 意味論 / 統語論 |
研究実績の概要 |
2022年度は研究実施計画に従い、データの収集を行いながら前年度で得られたデータをもとに、理論への貢献を考察し、学会や研究会で発表を行った。特に、照応表現だけではなく、照応表現に関連する他の言語現象まで研究の視野を広げ、分析を進めた。また研究成果をもとに学会や研究会などで発表を行い、複数の研究者から専門的なコメントなどを得ることができた。 具体的な研究トピックとしては、照応表現と同じように、言語的な先行詞を必要とする削除現象などを研究した。言語表現のどの部分が音声的に削除され得るのかを、詳細なデータをもとにまとめ、削除規則の認可条件についても分析を進めた。会話の中ですでに現れている言語表現をもう一度使用する際に、照応形のような代用形で表現するのか、繰り返しを避けてそもそも発話せずに該当する部分を音声的に削除するのかという選択肢は、日本語以外の言語でも観察されている一般的な対立である。そのため、この二つの言語的な選択肢を日本語で詳細に比較することで、ヒトの言語能力に備わっている規則が明らかになることが期待される。これらの研究に関しては紀要論文などで一部を成果としてまとめた。 また、照応表現はその指示対象を決める際に、別の表現の指示対象に依存するという性質が一般的に備わっているが、指示対象を持つ言語表現が文中に複数現れた場合、その表現の語順に関して厳密な制約があることが知られている。そのような制約の一つである交差現象に関して、複数形の代名詞が関わる例文を調査し、新たな分析を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの段階で、2021年度に集めたデータをもとに、いくつかの具体的な分析を考察し、その研究成果を学会や研究会で発表した。複数の研究者から専門的なコメントなどを得ることができたが、それらを論文などの成果物にまとめる段階には至っていないため(3)の区分を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き研究成果を研究会や学会などで発表し、研究対象となる言語表現についての分析を進めていく。さらにその作業と並行して、論文執筆なども進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響は改善されつつあったものの、まだオンラインによる学会や研究会が主であったため、旅費などの経費が使用額に含まれなかった。今後は、研究成果を国内外の学会で発表していく必要があるため、そのため旅費などとして使用する計画である。
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