日本では、平成23(2011)年施行の「公文書等の管理に関する法律」及び関連する諸規則等により、「行政文書」が紙の文書のみに限定されるものではないことが法的に定められているが、実際に国立公文書館等へと移管され、特定歴史公文書等となった映像資料の数量は、諸外国と比べて未だごく少量に留まっている。本来は知的資源として後世に残されるべき記録が媒体種別を理由に失われると、将来の学術研究や教育活動等に影響が及ぶことが懸念される。この状態の改善を目指すための基礎的作業として、映像資料の移管にまつわる歴史的経緯と管理実態の一端を明らかにすることで、学術領域からの支援を目指す点に本研究の社会的意義がある。
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