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2022 年度 実施状況報告書

第二言語としての日本語の名詞修飾に関する実証的研究:過剰使用される「の」の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K20018
研究機関中央大学

研究代表者

鈴木 一徳  中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (20907943)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2024-03-31
キーワード第二言語習得 / 日本語学習者 / 名詞修飾節構造 / 「の」の過剰使用
研究実績の概要

本研究は、第二言語として日本語を習得している学習者の名詞修飾構造の言語知識と言語運用について、実証的に解明するものである。特に、学習者の母語を問わずに広く観察される「の」の過剰使用(例:*先生が書いたの論文)に焦点を当てた研究を行い、その「の」の過剰使用のメカニズムを解明することを目的としている。日本語学習者による「の」の過剰使用は、母語に関係なく広く観察されているにもかかわらず、そのメカニズムの解明には至っておらず、各論にとらわれない統合的な研究が必要である。そこで本研究では、異なる母語を持つ日本語学習者を対象に、言語知識と言語運用の両方の側面から、「の」の過剰使用に関する複数の要因を統合的に検討し、そのメカニズムを明らかにすることを目的とする。
2022年度は、2020年度および2021年度に引き続き、「の」の過剰使用にかかわる理論的・実証的な先行研究の整理を行った。また、本研究課題に関連する論文も3編出版した。1編目(文教大学文学部紀要)は、被修飾部の音節数が「の」の過剰使用に与える影響を実証的に検証したものである。2編目(語彙研究)は、名詞修飾構造の1つである遊離数量詞の容認可能性に関する実験を報告したものである。3編目(英語学・英語教育研究)は、言語学アプローチの第二言語習得研究の成果を第二言語教育へ応用するにあたっての試論である。
現在、学習者コーパス研究を行っており、今年度中に学会発表および論文投稿を行うべく、準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験対象者である留学生(日本語学習者)の確保が十分に行えず、実験研究が予定通りに計画が進まなかった。

今後の研究の推進方策

現在、コーパスを用いた研究にも着手している。コーパス言語学および計量言語学に関する知識をさらにアップデートし、多言語母語の日本語学習者横断コーパス(I-JAS)を用いて、「の」の過剰使用にかかわる構造の抽出を行う。
さらに、実験研究については、オンライン上でできる実験の構築も視野に入れて研究計画を練り直している最中である。
コーパス研究の成果は、日本語教育および第二言語習得に関連する学会および学術雑誌で発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響で、学会出張が制限されたこと、および実験実施が滞り、参加者への謝金支出が減少したため、次年度使用額が生じた。次年度には、学会出張および実験参加者謝礼として使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 日本語の「の」の過剰使用の可能性に関する一考察:中国語の「的」の認可に着目して2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木 一徳
    • 雑誌名

      文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Language and Literature

      巻: 36 ページ: 117-128

    • DOI

      10.15034/00008096

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 遊離数量詞を含む日本語の自動詞文の容認可能性―干渉する付加詞の影響の検討―2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木一徳
    • 雑誌名

      語彙研究

      巻: 19 ページ: 46-56

    • 査読あり
  • [学会発表] Acceptable/unacceptable/in-between sentences in Japanese: An experimental study on long-distance numeral quantifiers2022

    • 著者名/発表者名
      Kazunori Suzuki, Michiru Hirano, Hilofumi Yamamoto
    • 学会等名
      The Digital Humanities 2022 Conference
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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