研究課題/領域番号 |
21K20026
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐藤 園子 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (80907139)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
|
キーワード | エコポエティック / 抒情詩 / エレーヌ・ドリオン / シルヴィア・バロン・シュペルヴィエル |
研究実績の概要 |
本研究課題は、20世紀フランス詩において多様化する土地の(移動を含む)経験が、いかに「詩的に住まう」ことの意味を重層化しているのか、さらには、詩の中で実践される「詩的に住まう」態度が言葉と取り結ぶ関係とはどのようなものか、という問いを核心に据え、(1)土地と詩的空間の検討(2)他者性としての樹木への着目(3)土地の所有と言語借用の問題という三つの観点から20世紀フランス詩における詩的言語と土地、自然との関わりを検討するものである。 今年度はフランスにおけるエコポエティックの歴史と理論を、アメリカで発展したエコクリティシズムとの関係において捉え直した。その上で、エコポエティックと抒情性の問題についてランボーとポンジュのテクストを対象に考察を深め、その成果を第70回人間総合研究センター主催人間科学研究交流会で発表した。また、フランス語圏ケベックを代表する詩人であるエレーヌ・ドリオンの最新詩集『わたしの森』(2023)についてフランス現代詩研究会で発表を行い、当該詩集の書評を『文学と環境』27号(文学・環境学会)に投稿した。当初は計画されていなかった詩人およびテクストへの着目は、研究内容(2)との関連から導き出される必然的な帰結であった。さらに今年度は、20世紀フランス詩のエコポエティック研究の第三の展開として初年度から計画していた現代詩人シルヴィア・バロン・シュペルヴィエルについての研究を進め、2024年度中に成果を公表する見通しを立てた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の総括としてエコポエティックの歴史とパースペクティヴを整理することができたため。また、今後の研究の萌芽を多く得ることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後もテクスト分析と理論的な整理を並行して行う。 2023年度は当初の計画では扱う予定のなかったテクストを研究対象とすることで、研究課題の目的を維持しつつ内容を深めることに成功した。来年度もこの方針を継続する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画されていた研究発表の機会が2024年度に延長されたため。次年度使用額は、学会発表および論文公表に必要な書籍および備品の購入に当てる予定である。
|