本研究は、英語の派生形容詞による名詞修飾表現を分析対象とし、次の3点を明らかにした。(1)限定用法しか持たないといわれる関係形容詞(RA)が述語位置に現れる理由には、従来議論されてきた要因に加え、名詞の特質構造が関係する。(2)RA+N表現(例:atomic bomb)とN+N表現(例:atom bomb)は完全に同義であるとされてきたが、RAの派生分析に基づくと前者の方が解釈の幅が狭い。(3)語彙化した-ed形容詞による名詞修飾表現(例:forked road「分かれ道」)の特殊な意味は、代表者の博士論文(Ishida 2021)で提案された名詞修飾の仮説に基づくことで合成的に得られる。
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