• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

古環境復元のための貝殻硬組織の熱変成の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K20050
研究機関中央大学

研究代表者

畑山 智史  中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (00907595)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード酸素同位体比 / 貝殻成長線 / 熱変成 / 生物硬組織 / 熱変成 / 貝塚 / 縄文時代 / 調理
研究実績の概要

本研究では、煮炊きなどによる加熱によって、貝殻硬組織に刻まれる成長線の変化を把握するため、現生のヤマトシジミやアサリ、ハマグリ、チョウセンハマグリを試料として、煮る、焼く、蒸すなどの加熱実験をおこない、さらに酸素同位体比の変化をみた。
最終年度は、酸素同位体比の変動をみるためにおこなった加熱実験の結果、ハマグリの酸素同位体比は200℃、30分間の燃焼より、減少した。また同一条件で300℃、30分の燃焼においても酸素同位体比は、減少した。45分、60分間の燃焼でさらに減少傾向があった。
昨年度に得られた加熱実験の結果では、ヤマトシジミにおける貝殻表面の変化は、300℃、45分間よりみられ、殻体は白色から灰褐色に変化していた。貝殻切断面の微細構造である成長線の消失は、約300℃・45分間の燃焼後に外気と接する腹縁より開始していた。所々でその成長線の計数が可能であった。成長線の消失した部分は、本来、観察できる成長線の方向に対して、垂直方向に歪なラインがみられた。
この貝殻切断面の微細構造である成長線の消失のパターンより、選定した受熱等のない資料を酸素同位体比分析の資料として用いることで、確かな古海水温度の復元ができる見通しがたった。そこで受熱等のない現生のハマグリを試料として、2022年と2021年に形成した貝殻の酸素同位体と海水温度を比較すると調和的であった。
また仮に受熱等あった資料の場合でも、消失パターンの更なる解析と酸素同位体比の変動を組み合わせことで、補正できる可能性がある。ただし、化石や考古資料の場合、埋没環境を想定する必要がある。また資料の低温状況なども考慮する必要があろう。いくつかの課題がみられ、また検鏡および測定したサンプルが少ないため、今後も継続して、実験をおこなう必要がある。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 茨城県大洗吹上遺跡における動物性食料獲得の季節性 -茨城県大洗吹上遺跡出土の動物遺体(3)-2023

    • 著者名/発表者名
      阿部常樹 , 畑山智史
    • 雑誌名

      國學院大學博物館研究報告

      巻: 39 ページ: 1-21

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 石瀬貝塚の動物骨の年代学的研究2023

    • 著者名/発表者名
      遠部 慎, 畑山智史, 米田 穣, 小林謙一
    • 雑誌名

      とこなめ陶の森研究紀要

      巻: IV ページ: 101-110

  • [雑誌論文] 縄文時代早期の貝採取季節に関する研究の現状と課題2023

    • 著者名/発表者名
      畑山智史
    • 雑誌名

      飛ノ台史跡公園博物館紀要

      巻: 19 ページ: 1-20

  • [雑誌論文] 貝殻硬組織の熱変成より得られる調理や古環境の情報2022

    • 著者名/発表者名
      畑山智史
    • 雑誌名

      考古学ジャーナル

      巻: 768 ページ: 134-137

  • [雑誌論文] 貝食の季節性2022

    • 著者名/発表者名
      畑山智史
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 159 ページ: 36-38

  • [雑誌論文] 鳴門市森崎貝塚の考古科学的研究-貝殻試料を中心として-2022

    • 著者名/発表者名
      畑山智史
    • 雑誌名

      青藍

      巻: 14 ページ: 25-37

  • [学会発表] 貝殻硬組織の熱変性に関する基礎的研究2022

    • 著者名/発表者名
      畑山智史
    • 学会等名
      日本動物考古学会第9回大会
  • [学会発表] 石瀬貝塚の再検討-年代測定を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      遠部 慎, 畑山智史, 米田 穣, 小林謙一
    • 学会等名
      日本動物考古学会第9回大会
  • [学会発表] 地蔵ヶ淵洞穴の研究2022

    • 著者名/発表者名
      遠部 慎, 岡嶋隆司, 菅紀浩, 畑山智史, 米田 穣, 及川 穣, 小林謙一
    • 学会等名
      第88回日本考古学協会総会研究発表大会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi