研究課題/領域番号 |
21K20063
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
松井 歩 弘前大学, 人文社会科学部, 助教 (10910581)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 小規模漁業 / 縮小再編成期 / 社会-生態システム |
研究実績の概要 |
初年度である2021年度には(1)青森県における漁獲統計データの整備および(2)北海道におけるナマコ漁業調査を主に実施した。 (1)について、青森県における1970年以降約50年間の漁獲量・漁獲金額について、市区町村別のデータベースを作成した。第一次産業を対象とした地理学的地域調査を実施する上で、生産統計は基礎的データとして非常に重要な役割を果たす。探索的なクラスター分析の結果からは、いくつかの例外がありつつも、青森県における漁業地域が基本的に外洋部、海峡部、内湾部に分類できることが確認できた。特に内湾部および海峡部の漁業地域は流動する資源システムを共有していると考えることもできる。1地域を対象とする際にも関連地域との比較検討が必要となることもあるだろう。次年度からは本成果をベースに青森県内、特に陸奥湾沿岸部での現地調査を本格化させていく。 (2)について、縮小再編成期にある日本漁業において、外部市場の活況に牽引されて高価格で取引される水産資源は地域漁業の活性化をもたらす一方で、資源の枯渇・ブームの沈静化などの不安材料も同時に存在する。本調査ではその典型例として北海道におけるナマコ漁業を取り上げ、ブームに対する地域漁業の対応、そして社会-生態的変化の解明を目的としている。本年度は北海道後志地域を中心に漁業関係者へ予備的な聞き取り調査を実施した。これにより次年度実施する漁業活動調査および集落調査の基盤を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、当初予定していた青森県内での複数回の現地調査が延期となった。これをうけ、現地調査用の予算を次年度に繰り越している。以上から進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は前年度までの成果をベースに、青森県および北海道での現地調査を進めていく。その上で、あくまで新型コロナウイルス感染症の状況を注視しつつ柔軟に対応できる研究体制を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により予定していた現地調査が延期となったため。調査計画を当初の令和3年前半から1年間延期し、繰り越した機材調達費・旅費を令和4年度前半に使用する。
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