研究課題/領域番号 |
21K20070
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
田代 藍 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (40812962)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 生態系 / 費用便益分析 / 防災減災 / Nature-based Solutions / 健康行動 / 公衆衛生 / Human wellbeing / Mental health |
研究実績の概要 |
本研究は、単なる水辺の自然環境ではなく、防災減災機能が備わる水都の生態系インフラが、人の健康に与える価値を国内の水害の文脈で検証し、健康への経済的価値として評価することを目的とする。まだ健康便益の経済価値までの評価はできていないが、研究は当初の予定通り、おおむね順調に進んでいる。 本年度は、これまでの防災機能としての生態系管理とそれによる健康行動に関する知見をとりまとめ、国際学会での発表および論文化を行った。調査地の防災マップから水害リスクを可視化し、地域資源の位置情報を重ね、データの整備を進めた。現地調査を進め、水辺(海・湖・河川)のまちであり、生態系の機能を水害対策のみならず、日常の心身の健康便益に寄与することが想定される、2町(徳島県海陽町、高知県土佐町)を対象として、データ収集のための事前調査を進めた。海陽町においては、中高生とその保護者を対象とした、海陽町の水辺の自然とのつながりおよびそれによる健康との関連についてのアンケート調査を実施した。現在、データ整備の段階にある。2022年度はデータ分析を進め、土佐町でも同様の調査を実施し、比較検証する予定である。都市と農村との水辺に関する対策と健康便益の比較をするため、徳島市を対象としたアンケート調査を実施する予定である。研究は予定通り進行しており、2022年度は地域の生態系の活用と健康との関連に関する費用便益分析および論文化を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の計画は、防災減災に寄与する生態系の機能、住民の地域資源の管理と関心の度合い、それによる心身への健康効果に関する知見をとりまとめ、当該研究分野の学術集会での報告を行うとともに、適切な学術雑誌へ論文を投稿することであった。生態系管理が健康行動として寄与する可能性をした論文が国際誌に掲載された。現在、地域の自然資源を活用することによる健康効果がNature-based Solutions(自然に根差した社会課題の解決策)として政策に役立つ可能性を示唆した論文化を進めており、投稿する段階にある。生態系機能を活用することによる健康便益に関する費用便益分析にはいたっていないが、2022年度に解析を進め、成果を出せる見通しがたっているため、概ね順調に計画が進んでいると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に間に合わなかった生態系の活用による健康便益に関する費用便益分析を進め、対象地の比較検証を行う。2021年度に引き続き、アンケート調査で回収した海陽町のデータ整備を進め、当該研究分野の学術集会での報告を行うとともに、適切な学術雑誌へ論文を投稿する。 2022度は、土佐町、徳島市でのアンケート調査を進める。土佐町では小中高生を対象とし、子供の地域の自然資源の理解度と日常の自然とふれあう活動を把握するため、イメージマップ作成による調査・検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は2町と1市でのアンケート調査を実施する予定であったが、倫理審査の承認期間とコロナ感染症流行の関係で現地との調整に時間を要し1町でしか実施できなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、アンケート調査のため、調査費用が多く必要になると予想されるため次年度研究費(調査費・人件費・旅費)と合わせて使用する予定である。
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