研究課題
本年度は最終年度として、これまでの調査研究の取りまとめを行うことと同時に、生態系インフラが地域住民の健康に与える経済価値評価に関する知見を導出すべく、徳島県海陽町の中高生とその保護者を対象に地域の自然資源に対する関心・認識や、自然環境での自然活動や利用頻度と目的、自然資源の防災への利活用に関する需要の調査を行った。結果は国際会議と論文として取りまとめて発表を行い、単なる自然環境から得られる健康便益だけでなく災害に脆弱な地域の自然環境を地域住民がどのような認識を持って利活用していくか、その認識の違いによって親子世代でどのような健康の便益に差が生じうるか等を報告した。生態系インフラを含む自然環境と健康との関連について、子、親、親子グループでの各属性を統合的に分析し、住んでいる場所の位置情報を含む心身の健康格差について考察を行った。結果を取りまとめた論文については投稿を行い、現在査読中である。新型コロナウィルス感染拡大防止の活動制限と実施者の所属機関の異動の関係で、当初予定していた高知県土佐町と徳島県徳島市での調査はできなかった。しかしながら、本研究課題の研究の枠組みを適宜拡張及び対応させ、海陽町での調査から導き出した結果から普遍的な政策提言を取りまとめることができたと考察できる。地域資源を防災資源(生態系インフラ)として管理・保全しながら、自分たちの心身の健康も改善・向上させるには、親子の世代間によっても認識と効果が異なるため、現在と将来の世代の心身の健康と福祉、豊かな自然環境、経済価値及び環境正義に関する持続可能なまちづくりを推進することが重要である。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
都市緑化技術
巻: 118 ページ: 23-24
Coronavirus (COVID-19) Outbreaks, Vaccination, Politics and Society: The Continuing Challenge
巻: 1st edition ページ: 67~81
10.1007/978-3-031-09432-3_5