韓国人が抱く「鬼神」の典型的イメージは、女性で、髪が長く、白い服を着ているというもので、日本の「幽霊」イメージからの影響を受けていることは先行研究でも既に指摘されてきた。本研究では、植民地時代から現代までの日韓文化交流の歴史の変遷を踏まえつつ、両者の影響関係について時系列順に検討した。具体的には、①植民地時代、②軍事政権時代(植民地解放~1960年代)、③日韓基本条約締結後の60年代中期~80年代、④民主化や日本文化解禁があった90年代以降、の4つの時期に区分して検討した。 研究成果として、まず、②の時期について、昨年9月のカルチュラル・スタディーズ学会で「1960年代の韓国映画における鬼神イメージ―日本の幽霊の影響を中心に―」というタイトルで口頭発表を行った。また、③の時期について、今年の5月にInternational Academic Forum (iafor) ACAHで“The Representation of Women During the Korean Military Regime Era: Focusing on Female Ghosts (Guisin) in TV Series”というタイトルで口頭発表を行った(発表動画はオンラインで公開中)。そして、④の時期について、韓国人のドッケビ(妖怪全般を総称する言葉で、鬼神も含む)に関する認識調査で過去3年間に渡って実施したものに昨年度の調査も加えてまとめた論文「韓国の妖怪「ドッケビ」の世代別認識調査」を『平安女学院大学年報』23号に投稿し、2023年3月版に掲載された。また、同一テーマについての一般紙への寄稿として、昨年9月に出版された雑誌『怪と幽』vol.11に研究会レポート「韓国人の描くドッケビと鬼神」を寄稿した。
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