研究課題/領域番号 |
21K20076
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 遥 神戸学院大学, 人文学部, 講師 (40624234)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 自然資源 / インドネシア / 熱帯林 / 長期利用 / 東南アジア |
研究実績の概要 |
本年度は、インドネシアスマトラ東岸でこれまで行った現地調査で得られた情報の整理、および統計資料の整理を進めた。現地調査情報については、複数村落における人々の移住履歴の聞き取り調査情報を集約し、エクセルファイルに入力した。情報整理においては、人々の移住年、移住理由、移住先、家族形態、移住先や移住元の住居の入手方法や維持方法などの項目を立てた。移住に関連する個人の語りは、ワードファイルに入力した。本年度中にすべての情報を整理することができず、次年度に一部持ち越したが、現時点では移住理由は、就学、就労、婚姻、その他というように大きく4つに分類できると考えられた。 統計資料の整理については、調査対象地域を含む県全体の2003年から2011年までの村落統計資料を整理した。これにより、調査対象地域とその周辺における人口動態と生業変化を分析するための基本的情報をそろえることができた。ただし、1990年、2014年の村落統計資料は整理するに至らず、次年度に作業を持ち越した。 成果公表について本年度は、調査対象地域の大学の研究者が主催した歴史と社会発展に関するオンデマンドセミナーでパネリストを務め、当該地域の人口増加の動態、人々の就業や教育と移住の関係などについて口頭発表した。このセミナーには、政府関係者や高等教育関係者が多く出席し、人脈を広げるとともに、今後の共同研究の可能性についても意見交換を行うことができた。また、調査対象地域における人々の移住とその後の生業に関して、サゴヤシ栽培を主要な生業とする人々に関する共著論文を執筆し、査読をへて、現在校正中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地調査で得た聞き取り情報および村落統計資料ともにすでに手元にある状態から研究をスタートすることができたので、主とする教育研究業務の合間に少しずつ作業を進めることができている。しかし、情報を整理するための分類方法などを検討することに予定よりも時間を費やしたため、人々の移住履歴に関する現地調査情報と村落統計資料を本年度中に完了させる予定にしていたが、一部の作業を残す結果となってしまった。来年度は、この作業を早急に終わらせ、人々の移住先における住居の入手や維持に関する現地調査情報の整理に取り掛かる予定である。 また、整理した情報の整理に遅れが生じていることから、関連文献の精読、整理、そして情報分析の作業も予定よりも遅れている。関連文献のリストアップはすでに完了しているので、来年度は、整理した情報の分析を、関連文献の精読、整理と並行して進め、調査対象地域における人々の移住特性の相対的な理解を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査情報については、本年度完了できなかった部分を早急に整理し、エクセルファイルやワードファイルに入力し、人々の移住履歴の特性について分析を進める。そして、人々が移住する中で住居をどのように入手する、あるいは維持しているのかについて、すでに行った現地調査で得られている情報を整理し、分析する。関連文献の精読を進め、調査対象地域における人々の移住特性、およびその中での人々の居住特性の相対的な理解を目指す。 村落統計資料については、本年度やり残した1990年と2011年の資料の整理を早急に完了させ、県レベルおよび村落レベルの人口動態と生業変化について分析する。そして現地調査情報と相互に補完させながら、調査対象地域における人々の移住と生業変化との関連、周辺地域も含めた広域における人口増加の偏りやその背景などについて分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、本年度に関連文献を購入する予定であったが、資料分析を完了できなかったことから、来年度に図書購入を見送った。また分析用パソコンの納入が新型コロナウイルスの影響により延期の見込みとなり、来年度に購入するよう変更した。来年度は、図書購入、パソコン購入ともにできるだけ早い時期に行い、予算執行に遅れが生じないよう努める。
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