研究課題/領域番号 |
21K20076
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
鈴木 遥 神戸学院大学, 人文学部, 講師 (40624234)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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キーワード | 自然資源 / インドネシア / 熱帯林 / 長期利用 / 東南アジア |
研究実績の概要 |
本年度の主な研究実績は、①昨年度投稿した論文の査読への対応、②対象沿岸村落における人々の居住と生業などとの関連についての分析、③国際セミナーの開催、であった。 ①について、昨年度投稿したインドネシア沿岸における人々による移住に関する投稿論文の査読結果を受け、分析の単位を同じ住居に暮らす家族となるようもう一度分析結果を見直し、修正した。また、集落内における人々の引っ越しというよりミクロな移動についての分析を追加することにした。この点については②でも述べる。査読にはすでに対応した。 ②について、①で指摘を受けた集落内におけるよりミクロな移動について、現地調査の情報をもう一度整理し直し、その傾向と要因を分析した。集落では人々による移住が頻繁に見られたが、一方で集落は人々が住み続ける場所でもあった。居住構成や集落の所有からは、人々が家族との関係に基づいて集落内で場所を変えながら住み続けていることが示唆された。また、土地を持たず、川や海に関係する生業を複合的に組み合わせるという生業様式が集落内に人々をとどまらせる要因の一つであると考えられた。集落のより内陸に引っ越す動きがみられた。その要因には、床上浸水や住居の傷みなどの波の被害、川底に溜まった堆積物によって住居基礎のメンテナンスができない点があった。 ③について、昨年度のウェビナーでの口頭発表を契機に、現地研究者との人脈が広がり、共同研究に向けた議論を進めてきた。これをさらに具体化するために、中心的な3名の研究者を招へいし、インドネシア沿岸における環境保全と社会発展に関する国際セミナーを開催した。その中では、環境保全における環境教育や実践の重要性、社会発展における観光の意義などを議論した。議論を踏まえ、環境保全と在来生業との両立に関するプロジェクトを開始するととし、準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、2023年4月から同年9月まで、新型コロナウイルス感染症に関連して、昨年度出産した子を自宅保育しながら在宅勤務を行った。また、同年9月から2024年3月まで、新型コロナウイルス感染症に関連して、昨年出産した子の看病や自宅保育などが断続的に生じた。このような事情により、昨年度持ち越した統計資料の分析を完了することができなかった。そのため、現地調査の情報と統計資料の情報との統合および分析がまだ進められていない。この理由で、研究がやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施期間をもう一年延長させていただくことにした。本年度は、統計資料の分析を完了させることを最優先とする。そして現地調査情報と統合、補完させながら、対象地域における人々の移住や人口増加の偏りなどについて分析を進め、論文を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施期間をもう一年間延長させていただくことに伴い、次年度使用が生じた。関連文献の購入などを予定している。世さん執行に遅れが生じないよう努める。
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