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2021 年度 実施状況報告書

近世の旅と疫病伝播に関する歴史地理学的研究:安政5年のコレラ流行を対象として

研究課題

研究課題/領域番号 21K20077
研究機関せとうち観光専門職短期大学

研究代表者

谷崎 友紀  せとうち観光専門職短期大学, 観光振興学科, 助教 (60908888)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード旅 / 近世 / コレラ / 疫病
研究実績の概要

本研究の目的は、旅の大衆化が進んでいた近世後期において、疫病の流行により旅人の行動と旅の目的地に生じた影響を解明することである。具体的には、安政5(1858)年のコレラ流行を対象として、当該期における旅の状況を、旅人の出発地、コレラとその情報の伝播過程、旅の目的地という3地点に着目して考察する。
令和3年度は、安政5年のコレラ流行に関する資料ならびに既往研究の収集・整理・分析を中心におこなった。資料については、当該期における日記史料と街道の宿場に残された大福帳を中心に収集を進めている。令和4年度も、資料の収集は継続しておこなう予定である。大福帳の調査は、安政5年前後の記録があると把握できた東海道の二川・四日市・土山・石部・草津宿、中山道の本庄宿のものを優先的におこなう予定である。また、資料調査が終了した宿場の大福帳の分析を進め、街道の各地点におけるコレラ流行前後の交通量の変化について検討する。
近世の旅と疫病に関する既往研究については、これまで別個に検討されてきた両者の研究を整理・統合したうえで、今後の研究の枠組みを提示した。この作業を通じて、これまで旅や名所に関する研究は、戦・災害・疫病の流行といった非常時ではない平常時を対象としており、非常時のなかでも疫病の流行は人の移動と密接に関わるものだが、旅との関連がほとんど議論されていない、という課題が抽出された。この研究の枠組みを示した成果については、『観光振興研究』にて公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和3年度は、安政5年のコレラ流行下における街道の通行量を検討すべく、宿場町に残された大福帳の調査を予定していたものの、新型コロナウイルスの感染拡大によって計画通りに調査をおこなうことができなかったため、資料収集に遅れが生じてしまった。
一方で、既往研究の収集・整理や、自治体史・資料集等に所収された日記資料については調査を進めることが可能であったため、そのような論文・資料の収集を優先的におこなった。

今後の研究の推進方策

令和4年度は、令和3年度に実施することができなかった宿場に残された大福帳の調査を進める。また、収集した大福帳を用い、旅人の交通量を定量的に分析する。そこで明らかとなった街道の交通量の変化と、すでに既往研究で明らかにされているコレラの伝播過程や街道沿いの各地での流行のピークを比較し、疫病流行によって生じる旅人の数の増減と、疫病やその情報の伝播との関連について考察をおこなう。
さらに、令和3年度に収集を終えた日記資料について分析を進め、安政5年のコレラ流行時における旅人の出発地および旅の通過点、目的地となる地域でのコレラへの対応の有無とその内容について検討する。このような非常時における旅の状況を明らかにすることで、近世の旅の様相と、人々の持つ旅と疫病への認識についても考察する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染拡大により、宿場町における大福帳の資料調査をおこなうことができなかったため。
令和4年度には、安政5年のコレラ流行時における街道の交通量を明らかにするため、当該期の大福帳が残されている宿場において、感染状況に留意しながら資料調査を進める予定である。加えて、従前よりの計画通り、調査を終えた宿場から優先して旅人の交通量の分析を進め、コレラの流行状況やその情報の伝播状況との関連を検討していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 近世の旅と疫病の関係を探る研究の構築に向けて2022

    • 著者名/発表者名
      谷崎友紀
    • 雑誌名

      観光振興研究

      巻: 2-1 ページ: 14-23

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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