一般的に妥当する法規範として構想される国際環境法の諸原則が、その本質として、複数の法体系・法規範に遍在し、種々の文脈を背負いながら多元性を伴って発展するのを背景として、人権条約の解釈・適用の実行を対象に、取り込まれ、具体化されるひとつのパターンを明らかにした。今後、他の国際法規範に生じていることが想定される類似のパターンを明らかにし、比較検討するための手がかりを提供する点で学術的意義を有する。さらに、気候変動訴訟において諸原則がどのような働きをしうるかについて検討を加えた結果は、今後各国が取りうべき気候変動対策(の見直し)に役立てられる点で、社会的意義を有する。
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