研究課題/領域番号 |
21K20086
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石原 佳代子 京都大学, 法学研究科, 講師 (40908133)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 地域代表 / 国政参加 / 議会 / 代表 / 州首相会議 |
研究実績の概要 |
令和3年度の研究実績は、大きく分けて3点ある。第一に、本研究課題の遂行にあたっての前提として、日本における地方の国政参加論に関連する先行研究や、現行の諸制度(地方六団体の意見具申権等)の制度設計の背景、加えてその運用実情について、整理・検討を行った。第二に、比較法対象国であるドイツにおける連邦―州間の権限配分のあり方と両者の間の調整メカニズムに関する資料収集・購読・分析を行った。具体的には、州の自律性の確保という観点から重要な意義を持つ第一次連邦制改革とその帰結への評価についての調査を進めた。また、連邦と州の間の調整の仕組みの一つであるところの州首相会議が、とりわけ、昨今の新型コロナウイルス感染症対策を迅速、かつ連邦全体である程度統一的に実施するにあたり、どのような役割を果たしているのか、それに対してどのような評価がなされているかを検討した。これら第一と第二の研究成果を踏まえ、博士論文に大幅に加筆・修正を加えた論文の一部が、「地域代表としての第二院設計の可能性と限界(一)」法学論叢190巻5号(2022年)23頁以下として公表され、これに引き続く論文も令和4年度に随時発行される見込みである。第三に、地域の利害や視点といった問題により幅広く取り組むとの目的から、令和3年に下された、那覇市孔子廟への公有地無償提供をめぐる最高裁判決を取り上げ、京都大学公法判例研究会にて評釈を行った。この第三の研究成果についても令和4年度に判例評釈として公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、地方の国政参加論についての日本の先行研究に関して概ね整理を終えた。これにより、本研究の前提部分については予定通り進行したと言える。続いて、本研究の核となるドイツとの比較法部分については、本研究と同時進行で博士論文の(本研究課題とは直接関係のない部分の)修正作業も行っていたため、当初の予定よりはやや焦点を絞ったものとはなっているものの、本研究課題遂行に必須の部分であったところの、州首相会議についての研究については収集可能な文献の収集・購読を終えたほか、新型コロナウイルス対策をめぐる最新の連邦と州間の調整のあり方といった追加的な検討も行うことができた。したがって、全体として見た場合、現在までの進捗状況はおおむね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度も引き続き、比較法部分について文献収集・購読を行うとともに、予定されている研究報告などの機会において随時、研究内容に関するフィードバックを受けたうえで、その指摘を踏まえつつ、研究成果を論文へと反映させる予定である。さらに、本研究課題の最終目的である、日本における具体的な制度設計の可能性を探ることも令和4年度の重要な研究内容となるが、この点については課題となる部分も既に浮かび上がりつつある。したがって、これらの課題に関連する問題として、代表制の問題にも派生的に取り組む予定である。
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