本研究は、国際組織の活動が個人に影響を与えていても、国際組織の法的責任が曖昧であるという問題に対して、法的解決のアプローチの一つとして、信義誠実原則に基づき国際組織の基本文書である設立文書を解釈することを示した。この解決方法の利点は、類似の問題に対して広く一般的に適用可能であるという点である。国際組織の活動が個人に影響を与えている事例に対して、一般的には、国際組織が国際法上の責任を負わない、または、その責任を追及する手段がないと考えらえている。これに対して、本研究では、同原則が問題解決の手段の一つとなりうることに光を当てたという意義がある。
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