研究課題/領域番号 |
21K20097
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
本吉 祐樹 日本大学, 法学部, 助教 (40906161)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 国際法 / 自衛権 / 集団安全保障 / 国連憲章 |
研究実績の概要 |
本研究は、国連憲章上の自衛権概念と集団安全保障概念の精査を通じ、その変化が国連憲章体制下における武力行使の合法性に与える影響について明らかにするものであった。その目的のため、まず、両概念の起源、その変遷の詳細を検討し、そのうえで両者の重なり合いとその法的位置づけについて分析するため、その方向性に沿った文献の収集や、検討を重ねていった。 自衛権概念については、多くの先行研究が存在しているが、いまだ複雑な論点を残している。個別的自衛権が主として自国の国益を保護するために行使されるのに対して、集団的自衛権は、「一国に対する武力攻撃について、直接に攻撃を受けていない他国も共同して反撃に加わるための法的根拠」(山本草二 『新版 国際法』有斐閣 1994年) と定義されている。 それに対し、国連憲章体制下における集団安全保障概念は、国際の平和と安全の維持のため国連憲章第七章に定められ、安全保障理事会 (安保理) が「主要な責任」を負っている。そして、安保理は、「平和に対する脅威」等の認定を含め、集団安全保障の措置の実施について、幅広い裁量権を有している。国連憲章の起草者によって想定された集団安全保障の本来のありかたは、安保理の要請により、国連憲章第43条の特別協定に基づいた国連軍により対処するものであった。しかし、その後の国家実行によって、国連軍を組織するのではなく、安保理が加盟国に武力行使を授権する方式を用いられ、曖昧さを含んでいる。この両者の分析を進めて、より複合的な視点から、国連憲章上の安全保障概念について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目は国際司法裁判所の判例、関連する国家実行、および先行研究を精査して、自衛権、そして集団的自衛権概念の変遷、を遂行することだが概ね順調である。しかし、社会状況のため海外出張が難しく、その点は次年度以降にしたい。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の研究を踏まえて、2年目には引き続き近年の先行文献を分析しつつ、海外出張で資料収集、及び学会での意見交換を積極的に行う。その成果を踏まえ、これまでの成果を論文にまとめ、学会で口頭発表や投稿の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウイルスの影響に伴い、海外渡航、及び国内の出張も難しく、当初の研究計画通りの出張や資料収集が行えなかった。よって、それにより生じた額は、次年度以降の出張に利用するつもりである。
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