本研究は、マーサ・ファインマンの議論を受けて婚姻法の契約法化の内実と養育の制度のあり方を考察してきた種々の論者の議論を、契約法の哲学と子どもの権利の哲学を用いて分析することで、来たるべき親族法の最良の構想を明らかにしようとするものである。 当初は2022年度末で終了する予定の研究課題であったが、新型コロナウイルス感染拡大を原因として、2023年度末まで研究期間を延長する必要が生じたため、本年度も引き続き研究を進めた。そのおかげで、充実した研究成果を出し、本研究課題を終えることができた。 4月以降、これまでの本研究の成果をまとめる論文を執筆し、9月末に博士学位請求論文として東京大学大学院法学政治学研究科に提出した。この研究過程で、当初の計画通り、特に生殖と養育の関係を検討したものについて、7月開催の国際家族法学会第18回世界会議にて学会発表を行い、フィードバックを得た。また、クレア・チェンバーズの「婚姻なき国家」について検討する論文を執筆し、9月末までに完成させた(これは1月刊行の共著にて公表された)。加えて、本研究課題の成果の要点をまとめた報告を、11月に開催された日本法哲学会にて発表し、フィードバックを得た。 11月以降は、博士論文では十分に扱うことの出来なかったが、本研究課題と非常に関連する問題(成人にとっての親密関係の重要性や、子どもの「愛される権利」に関連する問題)について研究を進め、それぞれ研究会にて研究状況を共有し、フィードバックを得た。
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