研究課題
研究活動スタート支援
本研究は、在外自国民保護のための武力行使を、武力不行使原則の例外として捉えるのではなく、自衛権の枠内で捉えたうえで、在外自国民に対する侵害行為が、武力攻撃を構成するか否かを検討したものである。「無意思あるいは無能力理論」を手がかりに、在外自国民に対する侵害行為が武力攻撃を構成する場合について検討した。さらに、累積理論の観点から、在外自国民に対する侵害行為の規模が大きくない場合でも、侵害行為が反復継続した場合には、武力攻撃を構成することを提示した点は、本研究の成果として挙げられる。
国際法学
本研究の学術的意義は、在外自国民保護のための武力行使について、武力不行使原則の例外とするか、それとも、自衛権の枠内で捉えるかという対立において、自衛権の枠内で検討することの妥当性を示すとともに、在外自国民に対する侵害行為が反復して発生した場合には、それらが武力攻撃を構成する場合があることを示した点にある。また、社会的意義としては、今後、在外自国民に対して侵害行為が発生した場合に、自国の軍隊を派遣する際の法的根拠を提示できたことである。