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2021 年度 実施状況報告書

農村の維持と成長の両立:マレーシア・スリランカの発展経験の再評価

研究課題

研究課題/領域番号 21K20102
研究機関東京大学

研究代表者

麻田 玲  東京大学, 東洋文化研究所, 特任研究員 (00767361)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワードマレーシア / 経済成長と都市化 / 農村の持続 / スリランカ
研究実績の概要

当該年度は、英領から独立以降のマレーシアの開発政策レビューを特に農村開発に関連する文献に着目して行った。マレーシアは、主に1970年から1990年の期間において、同程度の経済発展を遂げた国々と比較しても社会開発の分野では例外的な進歩を遂げてきた。これは、マレーシアが早くから教育や保健分野への投入、インフラ整備に力を入れてきたことに加え、所得を媒介としたメカニズムと支援主導型のメカニズムの組み合わせと関連していることが明らかになってきた。スリランカが経済成長よりも福祉政策の充実によって貧困削減に取り組んできたことと比較すると、所得の引きあげによって貧困削減を可能にしながら社会開発にも取り組んだマレーシアは、より計画的な開発政策をとり行なってきたようである。
また、90年代に入ると国家開発政策において「民族指向」の貧困政策をかかげて幅広く政府が介入するが、その対象は特定の民族に限定するのではなく、国家全体の成長に焦点をあてた貧困削減戦略に引き継がれていった。この点も、スリランカが農村の発展に開発の焦点をおきながら、意図的にシンハラ人口を優遇したことと大きく異なる点である。
翌年度は、マレーシアが人口の分散を可能にした開発政策により特化した政策文書レビューを行い、スリランカの事例と比較検討していく。
また、当初は文献レビューに加えてマレーシアの農村で世帯調査を実施する予定でいたが、コロナ禍での出入国制限のため実現できなかった。翌年度はこうした制限が緩和されることを期待し、現地調査を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マレーシアの開発政策の中でも、特に産業発展と農村および人口の空間的配置に関連する政策レビューは、当該年度の文献調査によって実施した。しかし、当初予定していたマレーシアおよびスリランカでの農村調査、大英図書館での史料調査は新型コロナウィルスによる出入国制限のために実施が不可能であった。よって、データの入手が困難であったことから、進捗はやや遅れ気味である。

今後の研究の推進方策

出入国制限が緩和された段階で、早急に第一回目の現地調査をマレーシアおよびスリランカで実施する予定である。マレーシアでは、都市化の進行が農村の社会変容に与えた影響を明らかにするために、現地の大学に協力を依頼し農村での世帯調査を実施する。スリランカでは、これまでの博士論文執筆時の調査地とは異なる環境条件にて、沿岸部の漁村コミュニティと都市との関係について調査を行う。また現地では、公文書館での史料調査を行い、日本国内で入手が困難であった資料を収集する予定である。加えて、両国の植民地期前後の資料を豊富に保存する大英図書館での史料調査も実施する。
可能であれば、スリランカ国外で広がる「超越都市」コミュニティの調査を日本国内で実施してみたい。
これらのデータをもとに仮説を推敲しまとめたものを年度内に国際学会等で発表し、コメントを取得したうえで、論文執筆の準備にとりかかる。

次年度使用額が生じた理由

新型ココロナウィルスの蔓延のために出入国制限がかかっており、マレーシアおよびスリランカでの現地調査が実施できなかったため、当初予定していた支出計画を下回ることとなった。2022年度は移動制限が緩和される見込みのため、早急に2か国での現地調査を実施する予定である。また、2か国の植民地支配をしていたことから資料を豊富に保存する英国での史料調査も実施を検討している。

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公開日: 2022-12-28  

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