研究課題/領域番号 |
21K20127
|
研究機関 | 中央学院大学 |
研究代表者 |
掘井 誠史 中央学院大学, 商学部, 講師 (40907979)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 経済史 / ドイツ経済史 / 産業的啓蒙 / 技術革新 / 繊維産業 |
研究実績の概要 |
18世紀後半ザクセンで実施された懸賞課題について,今年度において以下のような研究結果を得た。 本研究の目的は「懸賞課題と繊維産業に関する複数の一次史料の検討を通じて,特許などの類似した科学技術政策の成果と技術導入の過程を分析する際に,数量と言説の両方を考慮した手法の確立を試みること」であったが,本年度は一次史料の言説分析を実施した。 懸賞課題が国内の製品の品質向上を目指し,特に初期には国外の最先端の製品と同等の品質を目指していた。また,このような品質向上を達成せしめたのは,18世紀以前より既にザクセンに存在していた技術的基盤によるものであった。これは受賞者の職業の検討から明らかになった。 これらの成果は"Production of High-Quality Products through Prize Competitions in the Saxon Textile Industry. From Raw Material Harvesting to Finished Product Manufacturing"として論文化し,英文校正後,投稿した。この内容は次年度に国際学会で報告予定である。 日程の都合上,先に研究課題2に取り組み,研究課題1を後に取り組むものとした。研究課題2については次年度の国際学会での報告後,そこでの議論を踏まえた論文の修正作業が残されている。 研究課題1については,生産データの整理がまだ完全には終了していない。既存の先行研究における18世紀後半の生産データの収集と整理が完了したところであり,次年度には未刊行史料で得られたデータと比較しながら,まずは生産状況を確認する必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に研究が進捗している。 ただし,研究課題1と研究課題2の取り組む順序を逆転させた。これは国際学会報告の資料提出が本年度中であったこともあり,優先的に研究課題2に取り組んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度の国際学会報告を無事に完了することを第一とする。 その後は生産データに関わる論文を執筆し,年度内に論文化する。取り組む順序を逆転させているので,次年度は研究課題1に取り組むことになる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として計上されている72556円は主に物品費(図書費)である。 特に国外でしか販売されていない図書は,新型コロナウイルスの影響もあり日本に現物が届くまでに非常に時間を要している。1,2月に購入を予定していた図書の場合,年度内に到着しない可能性もあり手続き上の問題で次年度に購入することとした。
|