研究課題/領域番号 |
21K20132
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
豊崎 仁美 茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (90913179)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | マネジメントコントロール / 業績評価システム / 促進 / 目標の困難度 |
研究実績の概要 |
本研究は, 「促進と制約のバランスの取れたコントロールとはどのようなものだろうか」という問いに答えるために,促進的業績評価システムに着目して研究を進めた。促進的業績評価システムの研究は,促進的業績評価システムの設計に関する研究および利用に関する研究がある。主に質的調査が多く,促進的業績評価システムの量的調査が少なく,測定尺度が確立していないという問題があった。それに対して,構成要素の定義やこれまでの調査を踏まえて,質問票を設計しアンケート調査を実施した。とりわけ,促進的業績評価システムがチームに与える影響に焦点をあてた。これは,促進的業績評価システムが個人や組織パフォーマンスに与える研究はなされているものの,チームに対する影響について研究が進んでいないことが背景にある。業績評価システムをはじめとするマネジメントコントロールシステムが個人,チーム,組織のパフォーマンスに与える影響は異なることが,これまでの先行研究で示されている。したがって,促進的業績評価システムがチームに与える影響についても考察する必要がある。 仮説検証には,偏最小 2 乗構造方程式モデリングを適用した。分析の結果,業績評価システムを促進的システムと認知している場合に,チームの有効性に正の影響を与えること,またその関係は,チーム学習行動によって,部分媒介されることが明らかになった。 また促進的業績評価システムと目標の困難度というテーマの研究も同時に進めることができた。目標の困難度と職務業績の間には,非線形関係があることが指摘されている。これに対して,促進的業績評価システムの認知が,その関係を強めることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた分析よりも適した分析(偏最小 2 乗構造方程式モデリング)をみつけ,分析手法に関わる部分で想定よりも多くの時間を費やすことになり,論文化が遅れてしまった。しかし,ほとんど論文化が終わった現在では,次のテーマに着手できている。加えて,促進的業績評価システムと目標の困難度というテーマの論文を執筆し,国際ジャーナルへ投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,まず促進的業績評価システムの測定尺度の改善を行う。この1年間で促進的業績評価システムを量的に測定している研究が増えている。これらを踏まえて,さらに促進的業績評価システムの測定尺度の改善に取り組む。そのうえで,促進的業績評価システムと他のコントロール手段との関わり(例えば,理念コントロール)についてアンケート調査を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた分析よりも適した分析(偏最小 2 乗構造方程式モデリング)がみつかったため,分析手法に関わる部分で想定よりも多くの時間を費やすことになり,次の研究課題への着手が遅れてしまった。 本年度,次の研究課題である促進的業績評価システムと他のコントロールシステムとの関わりに関するインタビュー調査やアンケート調査を実施するために未使用額を利用する。
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