• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

会計情報とM&Aのパフォーマンスに関する実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K20148
研究機関京都大学

研究代表者

天野 良明  京都大学, 経営管理研究部, 講師 (40910914)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード会計情報 / 合併・買収(M&A) / M&Aのパフォーマンス / 非財務情報
研究実績の概要

本研究の目的は, 企業が開示する会計情報のうち, ①定性情報および②定量情報がM&Aのパフォーマンスとどのように関連するのかを実証分析により解明することである。本年度は主に①定性情報に着目した分析を行った。M&Aを実施する企業は, 有価証券報告書の中でM&Aを行う目的を記述することが求められる。本分析ではこの記述の中で「収益性・効率性・成長性」に言及がある場合とない場合で, M&Aのパフォーマンスがどのように異なるのかを検証した。日本企業をサンプルとした分析の結果, 「言及あり」のサンプルは, M&A後1カ月の短期間のみ, 「言及なし」のサンプルに比べて有意に高い株式リターンを得ていた。すなわち株式市場は, 有価証券報告書における「収益性・効率性・成長性」に関する記述を短期的には高く評価していると考えられる。しかしながら, 「収益性・効率性・成長性」を表す財務指標はM&A後に改善しておらず, 株式リターンも長期的には「言及なし」のサンプルと有意な差が見られなくなっていた。すなわち, 有価証券報告書で言及された「収益性・効率性・成長性」といったM&Aの目的は平均的には実現されておらず, 株式市場も長期的には評価を下方修正していることが示唆された。以上の分析結果は, 有価証券報告書上の定性情報がM&Aに関する投資家の意思決定に大きく影響していることを示唆しており, 本研究全体の仮説を裏付ける証拠の1つである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた①定性情報および②定量情報に関する分析のうち, ①については学会報告を行い, 学術誌への論文掲載が決定している。

今後の研究の推進方策

次年度は②定量情報に関する分析について, 学術誌に投稿中の論文を査読者からのコメントを受けて改訂する。また, これまでの分析の中で明らかとなった追加的な検証課題についても分析を行う。

次年度使用額が生じた理由

国際学会がオンライン開催となったことにより旅費が発生しなかったことを主な理由として次年度使用額が発生した。次年度における学会参加のための旅費や, 追加的なデータベース契約料などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Do acquiring firms achieve their mergers and acquisitions objectives? Evidence from Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Amano
    • 雑誌名

      Accounting & Finance

      巻: 62 ページ: 2905-2945

    • DOI

      10.1111/acfi.12909

    • 査読あり
  • [学会発表] Do acquiring firms achieve their mergers and acquisitions objectives? Evidence from Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshiaki Amano
    • 学会等名
      The International Accounting Standards Board (IASB) Research Forum in conjunction with Accounting and Finance 2021
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi