本研究を通じて福岡県醤油市場における地域性の存在と、その具体的な特徴について明らかにすることができた。第一次大戦期から福岡県醤油市場において甘味類添加醤油が販売され始め、その発展型の醤油としてのアミノ酸醤油が、松喜醤油の経営拡大において果たした役割が指摘できた。現在査読中の論文の内容に踏み込むが、こうした地域性の発展が戦後から現代までの食文化形成に与えた影響を考える際にも示唆的な指摘を行えた。こうした戦後の醤油市場と地域性の展開については、今後の課題としてさらに研究を進める。また、地域性の全国的な特徴の相違や、各地域の事例研究の深化を行うことも今後の課題となる。
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