研究課題/領域番号 |
21K20153
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
イム リョンフン 東北学院大学, 経済学部, 講師 (70909217)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 資産価格バブル / 株バブル / マネーバブル / 小国開放経済 |
研究実績の概要 |
本研究はこれまで、複数の資産にバブルが同時発生するマクロ経済モデルを構築した。具体的には、小国開放モデルという国際的に大きな金融市場に自由にアクセスできる小国経済で、複数の資産にバブルがどのように発生するのかと、そのようなバブルの特徴を分析した。 本研究では、金融市場が統合すると複数の資産に同時にバブルが発生することを明らかにした。グローバルな金融市場に自由アクセスできるようになった小国は、金融市場から借入を行い、それが国内の複数の資産のバブルを買い支えることによってバブルが発生するようになる。さらに往来のバブルの研究と違って、本研究におけるバブルは、発散経路上で発生することになる。発散経路上では、資産は永続的に成長するという特徴を持っており、バブルの一番の特徴である、資産価格の急上昇という側面を捉えることに成功していると思われる。 往来のバブルの研究では、無限期間の視野を持つ経済主体を仮定した場合、バブルが発生するためには、借入制約が常に拘束的である必要があった。しかし本研究では、往来の研究のように無限視野を持つ経済主体を仮定しているが、借入制約が拘束でない状況においてもバブルが発生することを明らかにした。無限期間視野を持つ主体を仮定した場合、どのような状況でバブルが発生するのかはまだ明らかにされていない点が多い中、小国開放経済を仮定することによて、借入制約に注視せずにバブルを発生させ、その影響を分析できるようになった事を明らかにしたことは意義があると思われる
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は当初の計画以上に進展している。本研究は理論モデルを構築して、完成次第、数値シミュレーションを行うことを計画していた。理論モデルの構築の段階で、当初は予想していなかった解析的な結果が複数得ることができた。特に、借入制約が拘束でなくても、複数の資産にバブルが発生することは、往来のバブルの研究の結果とは異なる重要な結果である。また発散経路上で発生するバブルのモデルに失業や投資の不確実性を導入できる可能性があることも明らかになった。発散経路上のバブルの研究はほとんどなく、失業や投資の不確実性を導入することで、発散するバブルが失業に与える影響や、バブルが投資の不確実性をどのように解消するのかといった問題を分析できることが可能だと思われる。現在は崩壊しない確定的なバブルの理論モデルに構築は完成しており、その研究結果をディスカッションペーパーで公開した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、バブルが崩壊する確率を導入し、構築した理論モデルの拡張を行う。新しく得られた解析的な結果が崩壊確率を導入することによってどのように修正されるのかをまずは確認する予定である。特に本研究では複薄の資産にバブルが発生する状況を見ているため、バブルの崩壊の様々な状況を扱うことができる。そのあとは、数値シミュレーションを用いて、複数の資産へのバブルの発生と崩壊を再現し、その経済への影響を分析することを計画している。そのために現在数値シミュレーションの準備も行なっている。また、当初は予定していなかったが、失業や投資の不確実性を導入できる可能性があることが明らかになったため、モデルを拡張した応用的な分析も計画している。失業にはサーチマッチング理論を用いて、投資の不確実性にはブラウン運動を用いた理論モデルの構築を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由は、数値シミュレーションを行うためのコンピューターへの支出を本来計画していたが、理論モデルの構築の段階で多くの新たらしい結果が得られたことにより、数値シミュレーションを行う前に、さらなる分析を新しく行なったためである。現在数値シミュレーションの準備をしており、そのためのコンピュータとソフトウェアに研究費を使用する予定である。
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