研究実績の概要 |
本研究では、複数の資産に同時にバブルが発生するマクロモデルを構築した。既存の研究では単一の資産のみに発生するバブルを考察していたが、本研究では二つの資産に同時にバブルが発生する可能性があるのかを考察した。二つの資産にバブルがどのように発生するのかは、国内の資産市場が国際資産市場にどのように統合されているかに依存していることを明らかにした。特に、借入市場が国際金融市場で統合されているのであれば、国内だけに取引が限定されている資産にバブルが発生することを明らかにすることできた。また既存の研究では、定常的なバブルのみが研究されてきたが、本研究のマクロ経済モデルで発生したバブルは発散的である。既存の研究で扱われていたバブルは定常的、つまり経済と同じ速度で成長するバブルなので、マクロ経済モデルで発散的バブルを再現することができたのは本研究の大きな成果である。また、本研究では借入制約が拘束でない場合にバブルが発生することを明らかした。既存の研究では、借入制約が常に拘束的ある場合にバブルが発生することになるが、本研究では借入制約は家計の最大化問題に解が存在することを保証されるためだけに用いられている。本研究の結果は"Two types of Asset Bubbles in Small Open Economy"としてまとめ、現在ジャーナルに投稿の準備を進めている。 また借入制約を用いずどもバブルが発生し、そのバブルが様々な経済活動を活発的にするのをマクロ経済モデルを構築して明らかにした。特に既存の研究では扱うことのできない起業家の投資活動の事後的な不確実性を導入しているのが特徴である。この研究成果を"Asset bubbles, entrepreneurial risks, and economic growth"としてまとめ、学術論文に発表することができた。
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