研究課題/領域番号 |
21K20156
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
橋爪 亮 大東文化大学, 経済学部, 助教 (60909795)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 第三種価格差別 / 独占 / 市場細分化 / ネットワーク効果 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、独占企業による第三種価格差別に着目したものであり、次の2つを目的として設定している。第1の目的は「独占企業が市場細分化に基づく第三種価格差別を控えるインセンティブの解明」である。ここでは、価格差別不可能な時の方が、それが可能な場合より、独占企業の利潤が厳密に小さくなる状況が存在することを示し、独占企業は市場細分化を止めて、価格差別を自主的に控えるインセンティブを持ち得ることを明らかにする。第2の目的は「独占企業にとっての最適な第三種価格差別戦略の解明」であり、第1の目的の発展課題である。第1の目的が達成されたもとでは、どのような市場細分化に基づく第三種価格差別が独占企業の利潤を最大にするのかという疑問が浮かび上がってくる。この問題の解決を目指す。 本年度は、研究実施計画通り、第1の目的を果たすことに注力し、継起的独占下では下流独占企業は価格差別を控えるインセンティブを持つということを明らかにした。この研究について、2021年12月に大東文化大学経済研究所のセミナーで報告を行った。また、負のネットワーク外部性が生じる場合も、独占企業は価格差別を控える場合があるという研究結果も得ている。ただし、これらの研究は線形の需要関数のみを扱っている。今後、結果がどの程度まで広く成り立つものであるかを一般的な需要関数を用いて検証することを目指している。特に、正の外部性が働く場合にも独占企業は価格差別を控えるインセンティブを持つか、一般的な需要関数を用いて調べていく必要がある。現在は先行研究の調査を行い、このための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、継起的独占の研究について、論文としてまとめ上げ学術雑誌に投稿する予定であったが、これに至っていない。その理由としては、前述の一般的需要関数を用いた分析手法を確立しきれていないことにある。
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今後の研究の推進方策 |
まず、先行研究の調査を早急に進め、一般的な需要関数を用いた分析を進めていく。なお、この分析に時間が掛かるようであれば、現段階までに得られている線形需要関数についての研究結果をまとめ、学術雑誌に投稿するという計画の一部変更も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、論文を完成させて投稿するという段階に至らなかったため、投稿前の英文校正費用や論文投稿料が掛からず執行額が少なくなっている。次年度は、論文執筆作業を進め、これらの費用に充てることを計画している。
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