研究課題
研究活動スタート支援
従来の経済理論では、独占企業が市場細分化に基づく第三種価格差別を控えるインセンティブは存在しないと考えられてきた。これに対して本研究では、ネットワーク効果が存在するならば、統一価格設定時の方が価格差別できる場合より独占企業の利潤が厳密に大きくなる場合があることを明らかにしている。加えて、ネットワーク効果が存在する場合において、独占企業の価格差別がすべての市場の消費者余剰を小さくする条件についても明らかにしている。
産業組織論
これまでの経済理論では、可能な限り市場を細分化し、それぞれに対して異なる価格を付けることが独占企業にとっての最適な価格差別戦略であると考えられてきた。しかしながら、現実では理論が示すほどの細かな市場細分化に基づく価格差別は行われていない。本研究はこれを説明する1つの根拠を提示しており、現実の経済現象への理解を深めるものであろう。