研究課題/領域番号 |
21K20158
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小野 雅琴 明治大学, 国際日本学部, 専任講師 (40911219)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 制御焦点理論 / 広告構成要素 |
研究実績の概要 |
本研究は、消費者情報処理アプローチの広告研究の潮流の中で最も有望な制御焦点理論を基盤とする既存研究が、「個々の広告視聴者にとって、より高い効果を及ぼす広告とは?」という「問い」を解くに際して、広告メッセージの訴求点が促進的か予防的かということにしか注目していないという問題点に着目し、メッセージ訴求点以外の広告を構成する要素が促進的か予防的かということが、特定の制御焦点を持つ視聴者の広告反応に及ぼす影響を識別することを目的としている。 初年度は、制御焦点理論基盤型の広告研究の中から注目すべき研究をピックアップし、レビュー論文「制御焦点理論を援用した広告研究の多様化」を執筆した。当該論文は『マーケティング・ジャーナル』41 巻 4 号(2022年3月発刊)に掲載された。本論文では、マーケティングの刺激要因としての広告の構成要素の制御焦点に着目し、制御焦点理論基盤型の広告研究を、3つの研究カテゴリー、すなわち、広告メッセージのフレーミングに関する研究、広告メッセージの解釈レベルに関する研究、および、広告の非言語的構成要素に関する研究に分けて概観した。さらに、それらを踏まえた上で、今後の研究の方向性や課題を以下のように提示した。今後は、無数の広告構成要素の各々について制御適合が重要であるかどうかを調査する研究に取り組む上で、特定の広告構成要素について、異なるデモグラフィック要因を有する消費者クラスターにとっての制御適合点が異なりうることを視野に入れることも重要であると指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前項のとおり、本研究の目的は、「広告メッセージの訴求点以外の無数の広告構成要素の各々が促進的か予防的かによって、促進焦点の視聴者と予防焦点の視聴者の間で反応が大きく異なるのではないか」という新しい研究課題を解くことである。初年度は、ひたすら数百篇の関連研究の中から、メッセージ訴求点以外の広告構成要素が促進的か予防的かについて取り扱っている希少な既存研究を識別し、各々の広告構成要素がある特定の形状をとった場合に促進的あるいは予防的であるに関する実証的記述を読み解く作業に打ち込んだ。その結果、上記の制御焦点理論を援用した広告研究に関するレビュー論文を執筆し、学術誌に掲載することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり、初年度制御焦点理論基盤型の広告研究をレビュー済みのため、次年度は、まず、注目する広告構成要素について、例えば、音色や広告における音楽の適合性に関する研究、広告メタファーに関する研究などをレビューした後、実証研究を展開していく。実証分析に際して、広告構成要素の組み合わせや、異なるデモグラフィック要因を有する消費者クラスターによる制御適合の差異なども考慮する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、当初予定していた学会出張やフィールド調査が実現できなかったので。 次年度の助成金は、実証研究を展開するための実験調査やフィールド調査、および、研究成果発表のための学会出張に使用する予定である。
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