2008年4月に導入された特定健康診査・特定保健指導(特定健診)の導入が中高年者の行動と健康に与えた効果を2つのアプローチで検証した。一つ目は、法律により被用者の健診受診率が他と比較して高いことと政策導入前後で健診受診に大きな変化がないことの2つの事実に着目した差の差推定で、分析から、中高年男性のうち大学卒以上のサンプルでのみ、特定健診の導入により、肥満指標の改善、生活習慣の変容が確認され、政策変更の効果が教育水準により異質であることが示唆された。二つ目は、特定健診導入前の健診内容の地域差を利用した差の差推定により、特定健診導入により、生活習慣病の患者数や医療費が減少したことが明らかになった。
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