研究課題/領域番号 |
21K20166
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
中村 文香 龍谷大学, 経済学部, 講師 (00906852)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | マッチング / インセンティブ / 因果推論 / 転職 |
研究実績の概要 |
本研究は、転職エージェントが転職市場で果たす役割を明らかにすることを目的としている。具体的には、先行研究ではほとんど注目されていない、転職エージェントの担当者と求職者のマッチングに注目することで、マッチングが転職エージェントを通じた転職において果たす役割、ひいては転職支援における効率的な人材配置に関する示唆が得られることを期待している。また、外生的な営業締切日と、非線形な雇用契約が生む目標達成のインセンティブを利用し、締切前後での転職確率、及びエージェントの仕事量の変化も明らかにする。 本研究には、申請者が企業と交渉し、独自に入手した営業データを用いる。2021年度は、すでに入手したデータの整理を行った。データには求職者の基本属性に加え、面接回数など転職活動の情報、求人・事業所・仕事量など、多岐にわたる情報が含まれるが、それらは別々のデータベースで管理されていた。そのため、まずは求職者のデータのみを整理し、簡単な予備分析を行った。 データを提供してくれた企業は、(准)看護師、保健師及び助産師資格を持つ求職者を対象に転職支援を行っている。求職者の90%以上は女性で、この企業を通じて転職した求職者の90%以上が常勤の職に就いた。また回帰分析により、男性、若年者、都市圏であることが転職確率を高めることが明らかになった。ただし、この分析は転職エージェントとのマッチングを考慮していないため、今後の分析で転職エージェントの属性が転職確率に与える影響を明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
データを提供してくれた企業が複数のデータベースで情報を管理していたこと、また、データ期間中に管理方法に変更があったことにより、データ整理に想定以上の時間がかかってしまった。当初は今年度中に分析段階に入る予定であったため、「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
申請書の計画に沿って研究を進めていく。具体的には求職者・エージェント及び事業所のIDをもとに各情報の統合を進め、分析用のデータが完成次第、まずは転職エージェントと求職者のマッチングに関する分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初データ整理のアルバイトを採用する予定であったが、データ構造が複雑であったため、作業を依頼することができなかった。また、データ整備の遅れに伴い、想定していたデータを提供してくれた企業との打ち合わせに掛かる費用を次年度分として請求することとした。加えて、次年度繰り越し分は学会参加費用と英文校正費、物品購入に使用する予定である。
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