研究課題/領域番号 |
21K20170
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
丹羽 寿美子 園田学園女子大学, 経営学部, 助教 (30908041)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | イノベーション / 金融政策 / 研究開発 / 経済成長 |
研究実績の概要 |
本年度は以下の内容を中心に、研究を行った。 R&D投資にcash-in-advance (CIA) 制約を導入した内生的経済成長モデルを出発点として、インフレ率の低下が、企業のR&D投資やイノベーションに対して、どのような影響を及ぼすのかということを明らかにするために、参入・退出・サバイバル活動といった企業のライフサイクルを明示的に考慮したモデルを構築して分析を行った。ここで、既存研究で分析されている、R&D企業の参入時におけるCIA制約だけでなく、サバイバル活動にもCIA制約を課し、市場に生き残るための投資が内生的に決定される構造をモデル化している点が、本研究の特徴である。つまり、本研究においては、インフレ・デフレは、CIA制約を通じて、R&Dに依存する企業参入率だけでなく、企業退出率や企業年齢の分布にも影響を与える。なお、先行研究に基づいて、参入時の方がサバイバル活動時よりも厳しいCIA制約に直面すると仮定している。分析の結果、参入するための費用が十分に大きい場合には、インフレ率の低下は、企業の参入率と退出率をともに減少させることを明らかにした。その結果、企業年齢が大きい企業のシェアは増加する。つまり本研究は、参入費用が高い経済において、インフレ率の低下は、ビジネス・ダイナミズムの停滞を引き起こす可能性があることを明らかにした。これらの成果を論文にまとめ、ディカッションペーパーとして発行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果がディスカッションペーパーとしてすでに公表されており、これに続く研究にもすでに取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ディスカッションペーパーの査読付き国際学術誌への掲載を目指す。また、引き続き研究計画に沿って研究を進める。
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