研究課題/領域番号 |
21K20173
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
清水 香基 北海道大学, 文学研究院, 助教 (20907563)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 主観的ウェルビーイング / 日本人の宗教意識 / 混合研究法 / 測定の不変性/等価性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、質問紙調査データの分析と調査協力者への追跡インタビューの混合研究法を用いて、①日本人の宗教意識および主観的ウェルビーイング(Subjective Well-being: SWB)の関連メカニズム、および ②上記にかかわる心理・社会的な過程についてのライフステージや社会階層間での相違を、経験的な手法から明らかにしていくことである。 2021年は関連文献のレビューををすすめるとともに、既存調査データの二次分析を実施し、既存のSWBおよび宗教意識の測定尺度検討を行なった。分析をすすめていく過程で、以下のようなことが明らかとなってきた。日本人の宗教意識は、行動・信念の各側面において、伝統・慣習的なもの、制度宗教的なもの、スピリチュアルなものの3つに大別して見ることができる。そのうち、伝統・慣習的な宗教実践―教団への所属認知の有無にとらわれない、地域の祭礼への参加や、神仏への信心の表明―は、主観的幸福にポジティブに寄与する。他方、占い、パワースポットめぐり、セラピーや癒しのヒーリングといったスピリチュアルな実践は、そういった行為をとらない人との比較において、主観的幸福にほとんど影響しないか、あるいは若干の負の影響があるようである。以上の結果を踏まえつつ、現在は新規の調査を企画・設計をすすめており、2022年度に本調査の実施および報告書の作成を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本調査の調査票の策定に時間を要しており、本調査実施の時期に遅延が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの成果のまとめ(既存データの二次分析・既存尺度の経験的検討)については、2022年8月に台湾で開催予定の東アジア国際宗教社会学会にて報告予定を予定している。 今後実施予定の調査に関しては、2022年7月頃を目処とし、一次調査(割り当てサンプルを用いたインターネット調査、600-800名程度を想定)の実施とする。その後8月から9月かけて二次調査(同意を得られた協力者40名程度へのインタビュー調査)を実施し、報告書をまとめるものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、出張(学会報告、研究会出席)のほとんどがリモートでの参加となったため。2022年度にインターネット調査を実施するにあたり、その際のサンプルサイズや調査項目数の拡充に充てたい。
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