研究課題
研究活動スタート支援
本研究の成果は、実践の参与者の志向に即して現象を記述するエスノメソドロジー研究の方法論的態度において、症例検討会における相互行為を分析したことで、ケース(症例)の検討を行うということが、同時に専門性の違いや業務の範囲を確定することでもあり、新人や研修医を教育することでもあることを記述したことである。そのことによって、症例検討会の複層性のもとで、異なる専門性を有する専門家同士が協働することを可能にする基盤を明らかにした。
医療社会学
本研究の学術的意義は、特定の症例検討会における相互行為をエスノメソドロジー研究の観点から分析することで、ケース(症例)を検討する場面として自明視されてきた症例検討会の特徴に、当人たちが込めている意義や位置づけを分析的に付け加えたことである。このようにして得られた学術的意義は、実践の参与者たちが改めて自分たちの活動を振り返り、自身の専門性について考える材料を提供し得る。また、精神医学的知識について、教科書的な見方とは異なる仕方で理解する可能性を拡げ得る点で、社会的な意義を有する。