研究課題/領域番号 |
21K20179
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
秋本 光陽 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (20910095)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 重大少年犯罪 / 質的比較分析法 / 社会科学における事例(ケース) |
研究実績の概要 |
本研究課題では、わが国の少年司法過程を対象に、重大犯罪におよんだ少年に対する保護処分選択理由を探索することにある。とくに本研究課題が目指しているのは、「質的比較分析法」にもとづいて、過去の事例を統一的な基準から分析するための研究プログラムを提案することにある。 そこでまず令和3年度においては、質的比較分析法の代表的研究者であるC.レイガンと、ラベリング論という立場から逸脱の社会学研究を進めてきたH.S.ベッカーとの共著書にもとづいて、社会科学研究における「事例(ケース)」の位置づけに関する理論的な考察・整理を行った。これは、個別具体的な事象と分析事例の単位との関係性をめぐる問題であり、社会科学的方法論に関する基礎的研究として重要な作業である。またこうした作業を通じて、本研究課題で採用する質的比較分析法とラベリング論という一見すると異質な方法・観点間の共通性も検討しており、逸脱研究における方法論的な進展に寄与できることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までは主に、本研究課題を進めるための理論的な検討を行っている。質的比較分析法に関しては、当初の計画通り、外部からゲストを招いて定期的に勉強会を開催している(オンラインによる勉強会)。ただし、新型コロナ感染症の影響により、図書館等での資料収集作業には遅れが生じており、それにともない資料整理・データベースの作成作業・事例検討作業等についてもやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の作業としては、これまで同様に理論的検討作業は継続しつつも、資料収集と重大少年事件例の分析作業を進めていく予定である。また分析の成果は適宜、主に社会学系の学会誌に論文を投稿していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は新型コロナ感染症の影響により大幅に移動制限がかかり、当初の予定通りに調査や資料収集等を進めることができなかった。そのため次年度においては、調査や資料収集をできるかぎり進め、積極的に論文投稿を行うことで、埋め合わせることにしたい。
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