本研究はSTEM専門職におけるキャリア展望の性差を、独自調査を行うことで実証的に解明することを目的としている。本年度の進捗は次の通りである。 まず、STEM専門職を中心とした若年層、および大学生を対象とした、職業イメージ調査とキャリア意識調査を実施した。対象者はネットモニターより集め、3700程度を回収した。本研究の主眼となるSTEM専門職に従事する若年層、およびそうした職に就職すると思われる専攻分野に進む大学生を回収できるように割り当てを工夫した。とりわけ、大学の学部の分類を細かくしたことによって、理工系分野に従事する潜在的労働者内の比較も可能なように調査設計を工夫した。本調査で得られたデータを現在査読論文に投稿中であり、かつ学会での報告が決定している。 具体的な調査内容としては、STEM分野を含んだ専門職に対する職業の評定の設問を設けた。この設問は、「どういった属性の人がSTEM専門職を高く評定するのか。またそこにどういった性差がみられるのか」を検討するための設問となる。また、STEM分野は業績主義的な分野であることが想定される。そこで業績主義的なライフコースを展望するか否かを尋ねるような設問を設けた。それによって、より業績主義的なライフコースを展望するものはSTEM分野を高く評定するのか検討し、そこに性差はみられるのかも同時に検討することとした。 また、本調査と類似の調査である二次データを用いた論文が保健医療社会学会に掲載が決定しており、ここでの報告結果を土台としつつ、本科研費の調査データを用いた新規の結果を報告予定としている。
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